求人広告の掲載料金は各媒体によって異なり、相場を知りたいと考える担当者も多いことでしょう。
この記事では、各種求人広告媒体の費用相場や特徴、選び方について解説し、さらに費用対効果を高めるポイントもご紹介します。
1.求人広告掲載の費用相場
求人広告掲載にかかる費用は、利用する媒体やプランによって異なります。おおよその目安として、パート・アルバイトの求人広告は1万円から10万円、中途採用では15万円から50万円、新卒採用の場合は40万円から100万円ほどとなっています。
ターゲットや採用規模に応じた採用手法が必要となるため、自社の採用戦略に合った求人媒体を選定することが重要です。
1-1.求人広告の費用動向
求人広告のコストは、職種や業種、企業の規模によってさまざまですが、年々増加する傾向があります。
株式会社マイナビが実施した「中途採用状況調査2023年版」によると、アンケートで「2022年の中途採用費用は、2021年と比較してどうでしたか」と尋ねたところ、全体の採用費用が「前年より増えた」と回答した企業は37.2%、「前年より減った」と回答した企業は14.1%でした。
その中でも特に増加したとされているのは、「ダイレクトリクルーティング」、「人材紹介」、「合同企業説明会」、そして「求人広告」でした。
従業員数が多い企業ほど「増えた」と回答する割合が高く、業種別では『IT・通信・インターネット』が42.3%と最も高いです。
サービスや手法別、業種別のいずれの場合でも、約4割の企業が求人広告費の増加を訴えています。
(出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2023年版(2022年実績)」)
1-2.一人あたりの費用対効果は?
一人当たりの求人広告のコストパフォーマンスは、「広告費用÷採用人数」の計算で求められます。
費用対効果の高い採用を実現するためには、経費を削減するか、一回の求人で複数の人材を確保することが求められます。
あるいは、「成果報酬型」の求人広告を使用することで、採用ができなかった場合の費用だけがかかってしまうリスクを回避することができます。
2.求人広告の種類と費用の比較
求人広告媒体とは、企業が求人情報を掲載するための媒体(メディア)を指し、その掲載方法は紙媒体からWeb媒体まで様々です。
それぞれ異なる特徴や利点、費用があるため、自社の採用計画に適したメディアや方法を選ぶことが重要です。
以下に主な求人広告の種類と特徴、費用についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
求人広告媒体 | 特徴 | 費用相場 |
求人サイト | ・全国の求職者に広告できる ・媒体によってターゲット層が異なる |
2~300万円 |
自社採用ホームページ | ・魅力を自由に伝えられる ・無料ツールもあるが、基本的に費用がかかる |
100~300万円 |
求人検索エンジン | ・無料で掲載できるが、競合が多く、無料では効果が出にくい | 0~1,000円 (1クリック) |
SNS (ソーシャルリクルーティング) |
・無料で求職者とやり取りができる ・知名度やブランド力がないと難しい |
0円 |
フリーペーパー | ・地域の求職者にアピールできる ・掲載できる情報量が限られる |
2~50万円(1枠) |
人材紹介 | ・成果報酬型でリスクが低い ・採用1人当たりの費用が高め |
採用者の年収の 30%~40% |
リファラル採用(社員紹介) | ・外部サービスへの費用を抑えられる ・社内での情報共有が必要 |
社員への報酬 1~30万円 |
ハローワーク | ・無料で求人掲載できる ・掲載は管轄地域のみ ・即戦力人材は期待できない |
0円 |
(1)求人サイト
求人サイト(ウェブ求人広告)は、民間企業によって運営され、求人情報が掲載されているWebサイトです。最近では、最も一般的に利用されている採用手段であり、多くの求職者に情報を広めることができる媒体です。
新卒、中途、アルバイト、派遣などの様々な雇用形態や、エンジニアや専門職といった特定のターゲットを対象とするサイトが存在します。各媒体にはそれぞれの特徴があるため、自社が求めるターゲット層に適したサイトを選ぶことが重要です。
【求人サイトの掲載料金の費用相場】
・就職サイト(新卒):40万円~300万円/1シーズン
・転職サイト(中途):20万円~100万円/月
・アルバイト求人サイト:2万円~40万円/月
(2)自社採用ホームページ
自社のコーポレートサイト内の採用ページや、採用サイトで求人募集する方法です。
写真や動画の掲載により、求人広告だけでは伝えきれない情報や会社の魅力を自由に求職者にアピールできるのが特長です。自社が運営するSNSなどのWeb媒体と採用サイトを連携させることで、露出を増やし、応募の促進も期待できます。
外部の業者にサイト制作を依頼する場合、コストとして制作費やデザイン費などでおよそ100万〜300万円がかかります。
(3)求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、求人情報に特化した検索エンジンです。
求人の掲載方法や表示順などが求人サイトとは異なります。基本的には無料で利用可能ですが、競争が激しいため、無料では成果があまり期待できないかもしれません。
【求人検索エンジンの費用相場】
・クリック単価の相場:15円~1,000円/クリック
・月額料金の相場:10万円~40万円/月
・代理店で運用代行する場合の相場:有料広告費の15~20%
(4)SNS(ソーシャルリクルーティング)
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを利用した採用方法です。企業が外部のサービスを使わずに直接求職者にアプローチできる、ダイレクトリクルーティングの一種です。
TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを通じて応募者と連絡を取るだけでなく、自社の採用情報を発信して認知度を高めることができる点が特徴です。
SNSを運用するための人件費はかかりますが、SNSそのものの利用は基本的に無料なため、採用サイトや求人媒体を使用するよりもコストを抑えることができます。
(5)フリーペーパー
地域で配られるフリーペーパーなどに求人情報を掲載する方法です。
地域に根ざしているため、当地の求職者にアプローチする場合に効果的です。インターネット検索に不慣れなミドルからシニア層にも適しており、特にパートやアルバイト向けの求人媒体として利用されています。
費用は、配布部数や掲載枠の大きさなどによって大きく異なります。
【求人フリーペーパー・折込チラシの費用相場】
・掲載料:2万円~50万円/月
(6)人材紹介会社
人材紹介とは、人材紹介会社(エージェント)から自社が求める人材を紹介してもらう採用手法です。エージェントとのヒアリングを通じて自社の採用要件に合った人材を紹介してもらうため、高精度なマッチングが期待できます。
人材紹介には2種類あり、エージェントが自身の人材リストから紹介する「一般紹介・登録型」と、人材を探してヘッドハンティングする「サーチ型」があります。「一般紹介・登録型」が主流となっています。
研究者や役員クラスなどの採用が難しい人材求人の場合、多くの場合「サーチ型」が利用されています。
人材紹介の費用は通常「成功報酬型」であり、採用者の年収の30~40%が標準的な相場です。
(7)リファラル採用
リファラル採用は、自社の従業員から知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
自社のビジネス内容や企業文化を理解している従業員が知り合いを紹介することで、不特定多数からの募集に比べてミスマッチが少なく、早期退職の防止が期待できます。
費用は基本的に無料ですが、企業によっては紹介に対するインセンティブが設定されていることもあります。
従業員が社内に候補者を紹介したくなるように、「候補者を紹介した場合」や「候補者が入社した場合」に特典や報酬を付与するなどの工夫が重要です。
(8)ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が運営する職業紹介サービスです。
求職者に対して職業紹介や職業訓練、雇用対策などのサポートを無償で提供しており、企業も求人情報を無料で掲載することができます。
ユーザー数が多いため、若年層から60代以上まで幅広い年齢層に向けて募集ができるのが特徴です。しかし、専門的なスキルを持った人材や即戦力となる人材の採用には向いていないと言えます。
さらに、ハローワークの求人情報は担当地域に限定されるため、広い範囲での求人募集には向いていません。
3.求人広告の費用体系
求人広告の費用体系には、求人掲載時に費用を支払う「先行投資型」と、企業が望む人材の採用に成功した場合にのみ報酬を支払う「成功報酬型」があります。
以下で詳しくご紹介します。
3-1.先行投資型
先行投資型は、求人情報を掲載する前に費用を支払う仕組みのことです。
求人の掲載順位や文章量、掲載できる写真の枚数、およびスカウトメールの数はプランによって異なります。多くの求職者に見てもらうには、検索結果の上位に表示されることや、大きな枠での表示が必要です。
また、求人雑誌などの印刷媒体では、掲載する場所や大きさによって料金が変わります。
自社の求人情報の閲覧数を増やすには高額な費用がかかりますが、採用人数に制限がないため、一度の掲載で複数の候補者を採用する場合に適した料金プランです。
3-2.成果報酬型
成果報酬型とは、求人情報の掲載に費用がかからず、採用が決定した時点で支払いが発生する料金体系のことです。
選考まで進んだ求職者がいたとしても、採用に至らなければ費用は発生しません。
ローリスクで採用できるのはメリットですが、採用決定時には比較的高い費用がかかるため、多くの人数を採用したい場合にはあまりおすすめできません。