応募者を評価する場である「面接」ですが、どのような質問をするのが良いのでしょうか？
本記事では、企業向けに面接官の役割や面接の基本的な流れを交えつつ、シーンごとの質問例について解説します。
1.面接官の役割とは？
面接官の役割とはどのようなものなのでしょうか。主な役割を2つ紹介します。
1-1.人材の評価・ミスマッチの防止
面接官の主な役割は、応募者の適性と能力を見極め、ミスマッチを防止すること。
履歴書や職務経歴書だけでは把握できない人物像や業務遂行能力については、直接の会話を通じて評価します。
面接では短時間で各候補者を見極める必要があるため、偏見を持たずに客観的な視点で評価することが重要です。
また、企業全体の人材需要と応募者の特性をうまく結びつける洞察力も必要です。
1-2.企業の魅力を伝え、応募者を引きつける
企業の魅力を伝え、応募者をもっと引きつけることも面接官の主要な任務の一つです。面接官は企業を代表して応募者と対話します。
企業の文化や仕事の魅力、働きがいなどを伝える役割も果たしているため、面接官自身が応募者に良い印象を与えられるよう心掛けることが重要です。
2.面接時の基本的な流れ
一般的な面接の流れをご紹介します。
まず、面接は挨拶と自己紹介から開始されます。この段階では、言葉の使い方や態度、自己表現力がチェックされます。
挨拶や自己紹介を通じて、応募者の第一印象やコミュニケーション能力を確認することは、採用の判断基準の一つとなります。
次に、職務経歴や志望動機について確認します。前職や職歴、現在の状況などを詳しく調べ、応募者の強みや将来の可能性を探ります。
その後、仕事に関する質問と回答の時間を設けて、仕事内容への理解度や関心度を確認してください。
最後に、応募者が疑問点を解消するために「逆質問」の時間を設ける場合もあります。逆質問を通じて企業についてより深く理解し、具体的な職務内容や将来のビジョンを明確にすることで、志望度を向上させる効果があります。
以上が面接の基本的な流れです。しかし、企業や業界によっては別の流れが適切な場合もあるので、その場合は流れを適宜調整してください。
3.採用面接に関する10個の質問例
ここからは面接の質問例を場面ごとにわけて紹介します。
（１）アイスブレイク
面接開始後、すぐに本題に入ることはおすすめできません。
まず、応募者のプレッシャーや緊張を和らげ、スムーズな面接にするためにアイスブレイクを取り入れるのが良いでしょう。
アイスブレイクとしての質問例をあげます。
・お越しの際の交通状況はいかがでしたか?
・最近の天候やご体調はどうですか?
・あなたの出身地はどこですか?
・最近読んだ本や観た映画について教えてください。
・最近特に関心を持っているニュースや出来事は何ですか？
アイスブレイクの質問は、一見すると面接には関係ないように思えるかもしれませんが、応募者をリラックスさせ、彼らの本当の姿を見極めるために非常に重要です。
（２）自己紹介を求める
面接の冒頭で自己紹介を求めるケースが多いのは、応募者が自分自身をどのように考え、どのように表現するかを確認するためです。
以下に、自己紹介を求める際の質問例を紹介します。
・簡潔に自己紹介をお願いします。
・あなたを表す一言は何ですか？
・今までの経験やスキルをもとに、あなたの強みについて教えてください。
・あなたの専門的なスキルや知識について述べてください。
・あなたがこれまでに最も誇りに思う成果や過程は何ですか？
自己紹介では、応募者が自分を適切に理解しているか、簡潔に説明できるかどうか、また、面接官とのコミュニケーションを通じてその企業や仕事に適応できそうかを確認します。
応募者が自己紹介する様子は、自信や熱意、柔軟な対応力、そして思考力を判断するのにも有益です。
（３）履歴書・職務経歴書
履歴書や職務経歴書には、応募者の学歴、職務歴、スキル、および達成した成果が記載されていますが、これらの情報を詳細に掘り下げない限り、応募者の実力を総合的に把握することは難しいです。
以下に、履歴書・職務経歴書に関する質問例をいくつか紹介します。
・履歴書・職務経歴書の中で特にアピールしたいことは何か教えてください。
・関わったプロジェクトの詳しい内容や、その成果と経過について具体的に教えてください。
・記載されているスキルについて直近の職場では実際にどのように活用しましたか？
・あなたが自己評価で最も高くつけるスキルは何ですか？
・ここに書かれている経験を弊社ではどのように活かして貢献できると考えていますか？
・前職の退職理由について詳しく聞かせてください。
上記のような質問を組み合わせることで、応募者の専門知識、スキル、および経験をより深く理解し、適切に評価することが可能となります。
（４）志望動機
志望動機は、応募者がなぜその企業や職種を選択したのか、その背景や考えを確認するための重要な質問です。
志望動機からは、その応募者の価値観や意欲、将来のビジョンを把握することができます。以下に、それに関する例を解説とともに紹介します。
・弊社を志望した理由は何ですか？
→応募者がなぜ具体的にあなたの企業を選んだのか、その理由や応募者のユニークな点を理解するための質問です。
・この職種・業種を選んだ理由は何ですか？
応募者がその職種や業種に興味を持ち、志望する理由を理解するための質問です。
・3年後、または5年後にどのような職務に就いていたいかを教えてください。また、その理由もお聞かせください。
→ これは応募者が持っているビジョンや将来のキャリアプランを理解するための質問です。
・他社ではなく、弊社に応募した最大の理由は何ですか？
これは、競合他社と比較してあなたの企業のどの点に魅力を感じているかを理解するための質問です。これにより、応募者の志望度を確認することができます。
応募者があなたの会社や仕事内容についてリサーチを行っているかどうかを、回答から見抜きましょう。
（５）仕事に対する姿勢・考え方を確認
応募者の仕事に対する誠実さや熱意、またプロとしての意識を問う質問も、面接では重要です。
その人が働く際に具体的な目標を持っているか、また困難に直面した際にどのように対処するかや、働くこと自体に対する考え方を把握するのに役立ちます。
以下に、仕事に対する姿勢・考え方を確認する質問例を解説を交えて紹介します。
・具体的な目標に向かって努力した経験はありますか？それはどのような内容で、その目的は何でしたか？
→応募者が具体的な目標に向かって努力できる意欲があるか評価できます。
・あなたはどのように効率良くタスクを完了させますか？特に忙しい時や、タスクが多数ある場合はどう対処しますか？
応募者がどれだけ効率的に業務を進められるスキルを持っているか、またはその技術を向上させる意欲があるかを確認できます。
・あなたにとって働く目的は何ですか？
→仕事や働くことに対する本人の価値観や目的を明らかにするための質問です。
面接において、上記のような質問を通じて応募者の専門的な資質や仕事への理解、意識・姿勢、熱意、その他の重要な要素を確認することが有用です。
（６）人間性を見極める
採用する社員には、経歴や技術だけでなく、人間としての性格や人間性も非常に重要です。以下では、応募者の人間性を探るための面接質問例について、解説とともに紹介します。
・あなたが最も敬愛したり、影響を受けたりした人物は誰ですか？その理由を教えてください。
→応募者の価値観や理想とする人物像など、本人の人間性がどのような根拠に基づいているのかを判断することができます。
・あなたが困難な状況に直面した場合はどのように対処しますか？
以下の状況を処理する能力、不測の事態に備える力、問題解決の能力などを評価することができます。
・チームで働くことについて、あなたの思いを教えてください。
→チームワークの重要性を理解しているか、他の人と協力して調和をもって仕事を進める能力を知るための質問です。
・これまでの経歴で、どのような達成感を得たことがありますか？その経験によって、自分自身がどのように成長したと感じますか？
これは、個人の達成感を通じてその人の価値観を理解し、自己成長に向けて積極的であるかどうかを確認するための質問です。
・あなたが自己改善や自己成長のためにおこなっていることは何ですか？
目的に進むための意志や行動力、自己啓発への努力を評価することができます。
短い面接時間内に前述のような質問を効果的に取り入れることは、応募者の人間性を理解する助けになります。
（７）キャリアプランを確認
面接では、応募者の将来のキャリアプランを確認することが、企業が将来有望で長期的に貢献できる人材を見つけるための重要なプロセスです。
以下の質問を参考にして、応募者の将来の目標、企業への適応力、および自己啓発の意識を理解しましょう。
・ここ3〜5年で描くキャリアビジョンを教えてください。
・弊社ではどのようなキャリアを歩みたいと考えていますか？
・勤務開始後、最初の1年間で達成したいことは何ですか？
・自分のスキルをどのように伸ばしていきたいと思っていますか？
・あなたが考える未来のリーダー像とは何ですか？
・あなたにとって仕事のプロフェッショナルとして自己実現すること何を意味しますか？
・自身にとっての成功はどのように定義しますか？
キャリアプランに関する質問では、面接官と応募者が対話を通じて会社のビジネス方針と個人のキャリアビジョンを調整することが望ましいでしょう。
（８）自己PR
自己PRとは、応募者の強みを具体的に述べることで、自分のアピールポイントを伝える大切な項目です。
面接官が応募者から自身の長所を引き出すための質問の例を解説を交えて紹介します。
以下の質問にお答えください： ●あなたの強みは何だと思いますか？具体的なエピソードや理由を教えてください。
以下の質問は、一般的に自己PRを引き出すために使用されますが、応募者の自己分析や自己評価の度合いを測ることができます。
・これまでの経験の中で成功を収めた事例はありますか？また、困難な状況に直面してそれを克服した経験があれば教えてください。
→具体的な経験に基づいた自己PRを引き出すような質問です。それにより、その人の柔軟性、問題解決能力、及びリカバリー能力を確認できます。
・自分がこの職場に入って貢献できる点は何ですか？
→これは応募者が自分の能力をどの程度理解し、企業に対してどのように貢献できるかを評価するための質問です。
自己PRに関する質問では、応募者が具体的なエピソードを交えながら自分の魅力を伝えているかどうかで評価すると良いでしょう。
（９）募集要項・募集条件
応募者が企業の提示した条件を確実に理解し、それに同意しているかを確認するためにも、募集要項や募集条件に関する質問は非常に重要です。
以下に、募集要項や条件に関する一般的な質問例を解説を交えて紹介します。
・弊社の求人情報をどこで見つけましたか？
→この質問は、企業が求人広告の出稿先に対する効果を確認するのに役立ちます。
・募集要項について何か質問はありませんか？
→応募者が求人広告の内容を理解しているかどうか、および不明な点を解消して納得してもらうための効果的な質問です。
・弊社が提示する条件（勤務時間、シフト、給与等）について、何か質問はありますか？
→この質問は、応募者が提示された条件を受け入れ可能かどうかを確認するためのものです。
・給与や勤務時間の条件について、何か交渉したいことはありますか？
→これまでの役歴や保有資格によって交渉の余地がある場合、応募者が何を期待しているのかを理解するために役立つ質問です。
これらの質問は、応募者が募集要項をどれだけ理解しているか、また希望する募集条件をどのように評価しているかを確認するのに役立ちます。
企業側が示す条件に対して、応募者が満足しているかどうかを確認することは、将来的な不満や退職を防ぐためにも重要です。
（１０）逆質問を促す
面接の最後の部分では、応募者が会社や部署、仕事内容について質問する機会を設けることをおすすめします。
応募者が持つ質問の内容は、その人がどれほど真剣に入社を考えているのか、また明確なビジョンを持って働きたいと考えているかを判断する重要な手がかりとなります。
そのため、予め逆質問を引き出すための質問を準備しておくと良いでしょう。以下に、逆質問を促すためのいくつかの質問例を示します。
・弊社について何か疑問点はありますか？
・募集している部署についてより詳しく理解したい部分は何ですか？
・弊社での勤務を仮定したときに、どの部分に不安を感じますか？
・また、確認したいことはありますか？
・弊社のビジョンやミッションについて、何か質問はありますか？
・具体的な業務内容やチームについて、何か質問はありますか？
・自身のキャリアについて、弊社にどのような期待を持っていますか？
逆質問は、応募者の企業に対する関心度合い、そのポジションに対する理解度、更には自身のキャリアに対する想いを見極める上で役立ちます。
面接官は、応募者の質問に適切に回答できるように準備して面接に臨みましょう。
